Blog
縁の糸
9月26日、大人の隠れ家Himikaのイベント"縁の糸vol.3" にスタッフとして参加させていただきました。
テーマは、和の美の学びの会〜着物編〜
発端は、いつも仲良くさせてもらっているHimikaのMichiさんから「着物に詳しい方、何方か知らない?イベントを考えてるんだけど… 」と聞かれたことから。
その時ふいに、山鹿の養蚕農家の花井さんを何度も取材され、山鹿のお着物プロジェクト、婦人画報公式サイトの連載など多方面で活躍されている着物エディター&ライターの安達絵里子さんにお願いできたら、と無謀にも思ってしまったのです。
花井さんに話すとすぐに電話してくださり、初めてお会いした安達さんはとても気さくでチャーミングな方で、Michiさんの依頼を快くお引き受けくださいました。
着物専門エディター&ライター 安達絵里子さん
こちらは安達さんが編集された本。池田重子さんの素晴らしい帯留コレクションの数々が収められています。全ページ、息を呑むほど美しい…
池田重子コレクション 帯留Ⅱ 手のひらの芸術 ハースト婦人画報社
本にうっとりしていると、Michiさんが私に「帯留つくってみたら?」と…いつもの急なお導きが。
Michiさんって名前のとおりの方で、いろんな人の新しい路を開いてくれる優しい方なのです。まだの方はぜひ出逢ってくださいね。
それなら参加者の皆さま全員にMichiさんの"縁の糸"への想い、ご縁をいただく方への愛をお伝えするものをと、試作をはじめました。
自ずと刺繍になるため、いつもはしないデザイン画を数百描き、そこから試作しましたが全然ピンとこず…
デザイン画を諦めて、糸で遊んでいた時に偶然できたかたちに決まりました。(結局はいつものやりかたです^^)
今回は1200年以上の歴史があるといわれる"絽刺し"という伝統刺繍に使われる絹糸を使用しましたが、あまりの扱いやすさに感動…
目が揃った扱いやすい市販の絹糸と、生きているからこそ扱いにくい座繰りの絹糸
それぞれの美しさ、素晴らしさを改めて知ることができてよかったと思っています。
一針一針心を込めて刺繍しました。
草木染め正絹とじ糸の帯留
"縁の糸"らしいご縁の重なりを表現したデザインは、薔薇の花のようにも、着物の衿合わせのようにもみえます。
少し立体感をもたせ、ピンやゴムを通せばブローチや髪留めにもお使いいただける仕様にしました。
22個、今持てるものを出し切ることができて自分的にはとても満足…だけど着物に本当に合うか、気に入っていただけるかは全くわかりません。
未知の世界の新作は祈りながら当日そーっと差し出すしかないのは、作家あるあるですね(たぶん^^)
制作期間は自分の内側にぐーっと入っていく日々なので、イベント初日はいつも、いきなり外に出たモグラみたいな状態。ちょっとというか、かなりぼんやりしています。
皆さんが眩しすぎる…
左より、私、日月茶会主宰 木本智子さん、安達絵里子さん、Himika主宰 Michiさん、日月茶会 みきさん。
Himikaの広々としたお座敷に沢山の方がお集まりになり、安達絵里子さんのお話がスタート。
安達さんのお着物や地元への想い、ご家族愛、そして四季を通して日々の暮らしを楽しんでらっしゃることが伝わって、お聞きしていると幸せな気持ちになってきます。
組み合わせ方、楽しみ方など知らないことばかり。
歴史の重みも感じながら、でもどこかお茶目な安達さんからは今の自由な空気も感じられて、私も着てみたいと思う気持ちがふつふつと…
そして"縁の糸"の帯留を実際にコーディネートしてくださる場面も!無事にお着物に合うことがわかってホッとしたのと同時に、帯留が輝く瞬間を見ることができて幸せでした。
紫陽花の帯にあわせてくださったのは山桃染め絹糸の帯留
季節ごとの素敵な着物コーディネートに皆さん興味深々。安達さんがお召しになっているお着物は「初秋」、帯は「葡萄とリス」
茶道家、木本智子さんのお茶にまつわる楽しいお話も。
美味しいお抹茶とお菓子も堪能して心も落ち着き、日本人である幸せを心から味わうことができました。
和装はやはり特別な空気感ですね。安達さんのお話では、毎日たっぷりの布に守られている感覚なのだそうです。そして素材によっては夏も涼しく着られると。
背筋も伸びて、身体の使い方も洋服の時とは変わるのだとか。
まずは緊張せずに、多少着崩れても安心な家の中でこそお着物を着て過ごしてみようかな、と思います。
お話しくださった安達絵里子さん、HimikaのMichiさん、日月茶会の木本智子さん、みきさん、ご一緒した皆さま、素敵な制作の機会と楽しい学びの時間をありがとうございました。